「ひとたび身につけた人は、その感触を、決して忘れることがない。」
このたぐい稀なコットンは、16世紀のある日、その優雅な感触と品位ある光沢で、英国女王の心をとりこにしたといいます。以来、英国の王侯貴族たちは、そのコットンを、200年もの長い歳月、門外不出で守り抜いたのです。カシミヤのようになめらかな肌触り、絹のような光沢。その繊維は世界中のどのコットン よりも細く長く、もっとも光沢にとみ、もっとも柔らかく、もっとも強く軽く。"シーアイランドコットン"日本では海島綿とよばれるこの綿は、今日もカリブ海だけにわずかに産出され、傑出した品質に希少価値が加わり、まるで宝石のように高く評価されています。
ひとたび身につけた人は、その感触を決して忘れることがない。この「究極のコットン」は、今も、本物を知る肌だけのために、わずかに、そして丹念に紡がれています。
カリブ海の風と太陽が育んだ、シーアイランドコットン。
カリブ海に浮かぶ西インド諸島バルバドス、アンティグア、ネービス、ジャマイカ、そしてベリーズ。この限られた5つの地域のみで、今日も生き続けていま す。世界でもっとも優れた綿がこの地だけに育った理由は、その気候風土にあります。
年間日照時間は3,000時間以上、雨期と乾期の絶妙なバランス、そし て綿を栽培するこのうえない条件を備えています。まさにシーアイランドコットンは、この地だけに与えられた神の贈り物なのです。
英国王室には、「綿製品はシーアイランドコットンで」というしきたりがありました。これは、16世紀後半に英国が西インド諸島を領有したとき、王室にシー アイランドコットンが献上されたことに端を発します。その後、このコットンは、英国王室や貴族たちを魅了し、英国紳士たちの間で、ステイタスシンボルとし て愛され続けてきました。世界のいずれの気候風土のもとでも育たず、カリブ海だけに生きることを許されたこの綿は、長い間、英国が栽培から船積みまでを厳 しく管理し、糸の紡出も英国の名門2,3社に独占されていたということ。まさに門外不出のかたちで、その高品質が守られてきたのです。
「天はニ物を与えず」のいわれどおり、しなやかで美しいシーアイランドコットンは、虫害に弱いなど大変デリケートな性質をもつため育ちにくく、1エーカー当 たりの収穫量も米綿の50%程度。このため大量の栽培は難しく、年間の生産量は50万ポンド(約1,000俵)、綿全体の10万分の1という希少価値の高 い素材です。天然の風合いと優れた特製を最大限に生かすため、長い時間をかけてじっくりと育成され、極力機械工程を減らし、摘み取りも人の手でひとつひと つ丹念に行われます。
カシミヤのような肌触り、絹のような光沢。「着るほどによさがわかる」と愛用人に言わしめた、このコットンの最大の特徴は、圧倒的に長く細い繊維にありま す。繊維は長ければ長いほど、細ければ細いほど、しなやかな風合いと強さを生みだします。また、シーアイランドコットンは、天然の撚りも綿の中でもっとも 多く、どんな綿よりふっくらした柔らかな味わいをみせ、抜群の吸湿性を発揮します。さらに絹のような光沢は、他綿に比べ50%も高い光の反射度ゆえ。とて も綿とは思えない光沢が優雅な表情を生みだすのです。