カシミヤはカシミヤ山羊から採れる獣毛素材です。
カシミヤ山羊は中国北西部や、内蒙古、外蒙古、イランなどで産出されています。
カシミヤの名前はインド北部高原地帯カシミール(kashmir)地方の古い綴りに由来します。
色はブラウン、グレー、ホワイトがあり、ホワイトカシミヤは淡色にも染めやすいので珍重されています。
カシミヤの繊維は非常に細く(繊維径直径の平均14~16ミクロン)他の獣毛繊維と比較しても突出した細さである事が分かります。
この事からカシミヤ繊維は、1本の糸を仕上げるにあたり、より多くの繊維を束ねる事が可能です。
また外気を遮断し放熱を抑えるという特長をもつカシミヤニットは、熱伝導率の低い空気を多く取り込むことが可能で、暖かな空気を内へとため込みます。
更にカシミヤの表面にあるキューティクル構造が、空気中の水分の吸収・放出を行うことで、一定の湿度を保つコントロール機能の役割を果たします。
これらの性質がカシミヤニットの優れた”軽さ”・”保温性”・”保湿性”を生み出します。
カシミヤ繊維は非常に細くしなやかで、皮膚刺激の少ない繊維の為、肌さわりはとても”柔らか”です。
また繊維表面には突起の少ないキューティクルが鱗状におおわれています。
突起が少ないことにより表面はフラットな状態となり、光を真っ直ぐに反射させ、”美しい光沢感”を生み出します。
更にカシミヤに含まれた油脂が、カシミヤ繊維の表面を覆うことで、カシミヤならではの”風合い”を醸し出します。
最後にカシミヤは非常に伸縮率に優れた素材です。
(羊などの獣毛素材と比較しても、約40%以上伸びがある)
これは生地のしなやかさや滑らかさを生むとともに、糸そのものに強い”復元力”を持たします。
その結果、”型崩れのしにくい”カシミヤニット製品を作ることができます。
糸の種類には大きく分けて、長い繊維が連続した”フィラメント糸”と、短繊維同士を撚ってループ状にし、一本の糸にした”スパン糸”の2つがあります。
※短繊維=絹以外の天然繊維(綿、麻、毛、カシミヤなど)
フィラメント糸とスパン糸では”糸端の数が違う”という特徴があります。
短い繊維を撚って作られた紡績糸は、糸端が多く存在します。
この糸端同士が絡み合うことで、玉となり”ピリング(毛玉)”が発生します。
また短繊維スパン糸の羊毛やカシミヤの場合は、繊維表面にスケール(キューティクル構造)が存在します。
このスケールの反り返り(突起)同士が、着用中の強い摩擦などで特に絡みやすく、ピリングが発生しやすくなります。
以上のことからカシミヤと上手に長く付き合っていくためには、
カシミヤの特徴を理解し、定期的な”お手入れ”が必要となってきます。
カシミヤには評価基準がいくつか存在し、
その一つがカシミヤのグレードです。
カシミヤには"ホワイトカシミヤ"、"ブラウンカシミヤ"、"グレーカシミヤ"が存在し、中でも脱色の必要がなく染色しやすいホワイトカシミヤは、
特に価値の高いカシミヤとして重宝されています。
またカシミヤには原料のランクが存在し、 繊維長(繊維の長さ)、繊度(繊維の直径/細さ)、異物混入率の3つで判断します。
ランク | 繊度 | 繊維長 | 異物混入率 |
---|---|---|---|
1等級 | 14ミクロン前後 | 34mm~38mm | 0.1% |
2等級 | 14~15ミクロン | 30mm~34mm | 0.2% |
3等級 | 16ミクロン前後 | 28mm~32mm | 0.3%以下 |
4等級 | 16ミクロン以下 | 30mm以下 | 0.5% |
... | ... | ... | ... |
8~9等級 | 17~18ミクロン | 24mm以下 | 1.0%以上 |
カシミヤは非常にデリケートな素材であるため、長く付き合って行くためにも、
日々のお手入れが必要となってきます。
ここではカシミヤに適したお手入れ方法を、ご紹介いたします。
またカシミヤのお手入れの際に、注意して頂きたいポイントなども、合わせてご紹介いたします。
カシミヤ製品のご購入前、ご購入後にぜひご参考下さい。
レセントのカシミヤ製品に限り、保管時の虫食いによる穴あきや不注意により
引っかけなどで穴をあけてしまった際に、修理(有料)することができます。
修理のお申し込みや補修料のお問い合わせなどご遠慮なくご相談ください。
穴あきの場所や製造から長期間経過している場合など、修理が不可の場合
もございます。あらかじめご了承願います。