林田の田辺工場
メンズカジュアルの林田(大阪市)は田辺工場(和歌山県田辺市)で昨年春に島精機製作所の8ゲージ編み機を導入し、生産のスピードアップを図っている。近年、レディス・メンズのパターンオーダー(PO)ニットが増えており、その納期対応を図った。田辺工場では、ここ4~5年で団塊世代の大量退職により大幅な若返りが進んだため、「若手への技術伝承」(柳瀬照幸取締役生産部長兼田辺工場長)に力を入れている。
田辺工場の生産能力はニットシャツ2万枚、セーター1万枚の計3万枚規模。最近はニットに布帛を組み合わせたような商品が増えているため、布帛の縫製設備もある。従業員は25人。編み立て設備は島精機製作所のジャカード機で8ゲージ3台、10ゲージ2台、12ゲージ3代の合計8台。新しい編み機と共に、デザインシステム「SDS-ONEAPEX3」も導入し、若手ら3人でソフト開発にも取り組んでいる。
編み立ては、成型編みとハンカチ編みがあるが、カシミヤなど高級原料を主力としているため、糸ロスの少ない成型編みが若干多い。成型編みではリンキングの外注先が減っているため、内製化を進めており、最近では中国生産から国内へ戻ってくるものも出てきている。近年は百貨店向けのPOニットが増えているが、自社ブランドの生産とOEM(相手先ブランドによる生産)事業もあり、生産が集中しないようにシャツなどでは仕掛かりを前倒しするなど工夫している。これと同時に生産の高速化も図り、拡大しようとしているOEMにも準備している。
ベテランの引退により従業員の平均年齢は約35歳と一気に下がった。しかし、今後も「若手の実力アップが先決。高級品主体なので、細かな手仕事が多いが、これからもメード・イン・ジャパンを残していければ」としている。