メンズカジュアルの林田(大阪市、林田誠司社長)の国内縫製の拠点となるのが和歌山県の田辺工場。ベターゾーンのセーターとシャツで年間4万枚を生産す る。1枚ものの生産ラインを導入、高級ニットのPO(パターンオーダー)商品をここで作る。ニットだけでなく、カットソー、布帛アイテムも生産する。
田辺工場の面積は886平方メートル、従業員は22人。自社ブランド「レセント」のセーター、シャツをそれぞれ2万枚ずつ供給する。主な機械設備は裁断機が6台、縫製機器55台、仕上げ機器、編立設備など。
既製品が大半だが、同工場はニットのPOを年間平均で1000枚作るのが特徴。09年度は1300枚の実績。05年のPO事業開始以来、総生産枚数は7000枚を超える。
PO事業はサンプル製品、生地見本、デザインパターンブックを持ち、百貨店の外商担当と高所得者の家を訪問、注文を受ける。カシミヤ100%なら小売価格は10万円以上となる。
顧客一人ひとりのサイズの合わせて、アパレルのトータルデザインシステム機器を使い、パターンを起こす。最短で3週間前後での納品が可能だ。田辺工場の PO生産の場合、生地は他社から購入するのではなく、糸を購入し、工場内で編立をする。工場内ですべてを完結させることで、品質管理を徹底させるのが狙い。
ニット以外にカットソーや布帛アイテムも同じ工場内で手掛けるのも珍しいケース。機械の種類、生産ラインも異なるアイテムを作ることは工場 全体の生産効率のアップには貢献しないが、「年間通じて、国産商品を安定的に供給することがメーカーとして必要と判断」(同社)というスタンスは崩さない。