20代のときにジーンズをはいていた人が、30代、40代になると、はかなくなります。理由を聞くと「似合わなくなった」と いうもので、体形の変化や服装の組み立てが難しくなるからジーンズをはかない。しかし、家にいるときはジャージー。みんな、それでいいとも思っていません。
そこで、体形が変化した40代の人にも似合うジーンズを提案したいと考え、パターンや素材を研究しました。女性ならミセスファッションというものがあ り、コーディネイトの中にジーンズも入っています。ところが、男性はスーツからの脱皮が下手。ゴルフウエアの上下くらいしかなくて、何をどう着たらいいの か、コーディネイトの仕方がわかりませんでした。
エドウィンのシャツなら不安に思う消費者もいるかもしれませんが、専業メーカーの商品なら安心できます。新しい組み立てでトータルコーディネイトを提案しようということになりました。同じ紡績から素材供給を受けているつながりや、工場のある東北の懇談会の知り合い、パーティーで紹介を受けたりといった関係を生かして、各メーカーに提 案すると、「やってみましょう」ということになりました。単品専業メーカーが売り場提案したくても、売り場表現ができなくて埋もれてしまっています。みん なそれを何とかしたいと思っていました。
単品専業メーカーが集まって共同の売り場を設ける試みはこれまでもいくつかあった。ただ、商品アイテムによって企画の時期が異なることや、全体のコントロールをする人がいないなど、なかなか成功事例がなかった。
何社かのメーカーが協業することはいままでもありましたが、ほとんど売り場からきていたもので、メーカーからスタートしたものは少なかったと思います。
今回の取り組みでは、きちんとしたモノ作りをしているメーカーであること、国内で企画・生産できる背景を持っていることを重視しました。企画を外部に委 託しているところではダメですし、海外で生産しているメーカーでは、サンプル作成や企画の修正も、時間や手間がかかって大変です。
モノ作りでめざしたのは、着やすい服です。着た人が今までと違うと感じてもらえる付加価値を“工”の面から付けたいと考えました。シャツやジャケットの サイズはS,M,L,XLが普通ですが、ブルー・ギャラリーでは、Mでも細めとゆったりめのMA、MBを設けました。
企画スタッフも各社から前向きな人が集まり、既成概念を取り去るのに了解を得られました。ただ、スタートして最初の1年間は共通の言葉もなく、話したことが伝わらなかったりしました。
難しかったのは、それぞれが(そのアイテムに関しては)プロすぎて、お互いに批判し合ながら、それを壊していく作業が必要なことでした。みんな裏地や パッドをつけてかちっとしたものを作るのに慣れています。ところがジーンズはユーズド加工したり、崩すのが得意です。
洗って糊を落とす、襟にシワをつける。みんな今までと逆の発想ですが、そういうことをやり出すとみんなおもしろくなってくる。プロのモノ作りがわかっている人たちなので、オリジナリティーのあるいいものができます。ジャケットにジーンズの洗い加工をするとどうなるか。どんな芯地や裏地を使わないといけないのか、洗うと寸法が変わるからパターンを引き直さないといけ ない。洗い方でも砂を混ぜたり、たたいたりといろんな方法があります。エドウィンが一番そう言う感覚をもっていますから、当社がブルー・ギャラリーの発起 人みたいなものです。
展示会を開いて、ブルー・ギャラリーの考え方にかなりの賛同を得られました。今月には高島屋東京店、秋には東急百貨店東横点にもコーナーができる予定です。今までの着こなしとは違うと評価を得ています。